南野法律事務所

法律のはなし

保証人の責任はいつまで?どこまで?


弁護士 南野雄二

ポイント

保証人の責任はいつまで?どこまで?任意解約権・特別解約権について南野が疑問にお答えします。
問1 任意解約権

 私は、五年ほど前に、当時、私の会社と取引があったA社から頼まれて、A社が銀行から借入する際に、個人保証をしたことがあります。期間や額の制限はありません。その後、A社とは取引がなくなってしまったので、保証を解約したいのですが、A社や銀桁が承諾しなくても解約することはできますか。

 期間の制限がない保障契約は、保証人の責任がいつまでも続くのは酷なので「相当期間」が経過したときは、将来に向けて解約することは可能です。すなわち、すでに発生している債務の部分についての責任をなくすことはできませんが、解約の通知をした後、銀行が代わりの担保を徴するなど対策をとる時間が経過後に、A社が新たに銀行から借り入れた負債については、保証人としての責任を問われません。「相当期間」とはどの程度か、一概には言えませんが、保証対象の取引の性格や、保証人と債務者との関係(社長がその会社の債務を保証しているのか、第三者かなど)などを考慮して決まります。

問2 特別解約権

 私は、別の取引先のB社から頼まれて、銀行から借入をするのに保証をしました。ところが、最近どうもB社の経営が思わしくないとの噂を聞くので不安です。今から保証を解約することができるでしょうか。

 保証人は主たる債務者との信頼関係によって成り立つものです。信頼関係が失われた場合は、将来に向かって保証契約を解約することができるとされています。これは法律には書かれていませんが、裁判所の判例によって認められています。判例が認めるのは、(1)主たる債務者の資産状態が著しく悪化した場合、(2)保証人の主たる債務者に対する信頼が失われた場合、(3)一定の地位を前提に保証をした場合、などです。たとえば(1)では債務者が倒産の危機にあるとき、(3)では代表取締役が会社の債務を保証していたが退任したときなどがこれに該当します。問1の場合と異なり、債権者に通知すれば解約の効果は直ちに生じます。
ただ、自動的に解約になるのではなく、保証人から債権者に対して、解約の意思を明確に通知する必要があります。また、解約の通知までにすでに発生した債務については責任をまぬがれることはできません。特別解約権が認められるかどうかは、明確な基準があるわけではありませんので、ご相談をいただき、とりあえず意思表示をすることが大切です。


TOP