南野法律事務所

遺言書

遺言の作成

財産を死後、誰にあげたいのか(相続してもらいたいのか)を、生前に書き残すものです。
未成年でも15歳以上であれば可能です。
また、いつでも書き換えることは可能です。
遺言には、自筆証書、公正証書、秘密証書などがあります。ただ、経験上、後の紛争を避けるためには、作成時に費用がかかりますが、公正証書遺言にされることをお勧めします。
比較的よく使われる自筆証書と公正証書について説明します。

自筆遺言証書

概要 ① 遺言者自身が全文を自筆する
② 作成日付(年月日)を自筆で書く
③ 自筆で署名をする(ゴム印等は×)
④ 捺印をする(認印もOKです)
長所 費用がかからない。誰にも知られずに作成できる。書き換えも簡単。
短所 自筆する体力がないとできない。
上記の①〜④の要件に欠けて無効になる場合がある。
内容が不明確でトラブルになる場合がある。
紛失、隠匿のリスクがある(法務局の保管制度を利用すれば大丈夫)。
死亡後に検認の手続きが必要(法務局の保管制度を利用すれば不要)。

公正証書遺言

概要 公証役場で証人2名の立会いのもと、遺言内容を公証人に口述し、公証人が遺言書を作成。
長所 公証人というプロが作成するので方式の不備で遺言が無効になるおそれがない。公正証書遺言の原本が必ず公証役場に保管されるので遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりする心配がない。
短所 公証人に支払う費用がかかる。

遺言執行者

遺言執行者とは、遺言者が亡くなった後、遺言者に代わって遺言を実現する役割があります。
遺言書に指定があれば、その人が担当します。認知や遺贈、相続分や遺産分割方法の指定または指定の委託など、遺言執行者でないとできない事項もあります。
現実には相続人間の調整をすることが中心の仕事です。

遺言執行者の指定がない場合

相続人や遺贈を受けた人、遺言者の債権者などの利害関係人は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に遺言執行者の選任を求めることができます。

遺言書の検認

遺言者の死亡後、公正証書遺言をのぞく遺言書の保管者または遺言書を発見した者は、家庭裁判所に遺言書の検認を請求しなければなりません。
封印のある遺言書(秘密遺言証書)については、家庭裁判所で相続人等の立会いのうえ、開封することになっています。
検認とは、裁判所が遺言書の存在及び内容の確認をして、遺言書の偽造や変造を防止するための手続です。
検認は、遺言の有効・無効を判断する手続ではありませんが、遺言書が全文自書、作成日付、押印があるか、遺言者の年齢は15歳以上であるかといった法律で定められた形式要件について、この手続の際に確認されることになります。

遺言書の無効確認

遺言書が本人の筆跡と異なるとか、遺言者が認知症や精神障害で遺言書作成当時遺言をするだけの判断能力がなかったはずだといった場合には、遺言書の無効の確認を求める訴訟を起こすことを検討することになります。
遺言の筆跡の問題は自筆証書遺言で起こることですが、判断能力の問題は公正証書遺言でも起こり得る問題です。

遺留分

被相続人は遺産をどのように処分しようと自由に行うことができます。
しかし、被相続人の財産が相続人以外の第三者に遺贈したり、一部の相続人のみに相続させるという遺言を残した場合、
遺産をもらえなかった相続人は期待が裏切られてしまいます。
そこで、相続人について一定割合は最低限、侵害されない割合を法律で決められています。
法律上確保される最低限の割合を遺留分としています。遺留分の割合はつぎのとおりと定められています。

(1)直系尊属のみが相続人である場合は、相続財産の1/3
(2)前記(1)以外の場合は、相続財産の1/2

この割合に各相続人の法定相続分を掛けた割合が各相続人の確保できる相続分となります。
なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分減殺請求

遺留分減殺請求遺留分を侵害された相続人は侵害されたことを知った時から1年以内に返還を請求することができます。
この返還請求は、裁判によらなくても内容証明郵便でもできます。
なお、遺留分が侵害されていたことを知らなかったとしても、相続開始から10年で請求する権利が消滅します。
遺留分減殺請求を主張されたい場合は、時効の問題が生じることもありますので、お早めにご相談ください。

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